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2018/07/06
グランツの基本理念『自ら方程式を創る』A

 小学校の頃、学校に小さな劇団が来たり、映画教室が開かれたりするのがとても楽しみだった。体育館なんかなかったから、全校の生徒が集まるのは『講堂』だった。50年以上も前のことだが、私の通った長湯小学校は全校生徒が500人ほどもいた。

 みんなで楽しんだ演劇や映画の感動は半世紀が過ぎた今でも鮮明に憶えている。『アラジンの魔法のランプ』は奇抜な化粧や衣装、そして初めて人が劇を演じるという舞台に魅せられた。映画では、盲目のバイオリストの少年とウィーン少年合唱団の友情を描いた『この道』が忘れられない。映画の中でウィーン少年合唱団が歌った「この道は いつか来た道 ああそうだよ アカシアの花が咲いてる」の歌声はいまも私の耳の底に残っている。映画を見て、初めて涙したのだった。

 あの頃、日本列島は貧しかった。農村はさらに貧しかった。5円、10円のお金を払うことのできない子供たちもいた。でも、先生たちはそんな子供たちにもこっそりとお金を握らせて、誰一人欠けることなく、全員で劇や映画を楽しんだ。

 みんなで一緒に感動することを知った子供たちは、心豊かに育っていった。暗くなった会場でのドキドキ感はいまも忘れることができない。大切な思い出である。

 いまの時代、子供たちは一人パソコンに向かって無表情で時間を過ごす。それが悪いと言っているのではないが、とても大切なものを置き忘れてはいないのかと気にかかる。

 グランツが完成した。10月7日に落成式を迎えたあとは国民文化祭がらみの事業が続く。さだまさしのコンサートや姉妹都市の仙台から仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏が予定されている。待望の総合文化ホールが完成した喜びの意味が込められている。

 でも、大切なのは市民が高額の入場料金を支払わなくても楽しめる企画であろう。たとえば、竹田市の名誉市民である芹洋子さんのコンサートが千円で楽しめるとか。会場も、いつも713席が満席であれば理想だけれど、200人や300人ほどでもいい。本当に楽しめる市民レベルの企画も忘れてはならない。加えて、カラオケ大会や民謡・舞踊などの親しみやすい催しものも積極的に開催してほしい。

 肝心なのは、市民が誇りを持って通える総合文化ホールになることだ。

 施設の維持管理費や特別の企画事業の経費を補てんするために、行政はふるさと納税や新電力事業などによる収益を充てる計画である。後年度に大きな負担をかけず、しかも竹田市らしい独自の運営が実現するように『自ら方程式を創る』ことを目標に頑張るつもりである。

 

【2018/07/06】 グランツの基本理念『自ら方程式を創る』A